メルマガが届かないときの原因と点検手順|配信担当者が送信・受信・反応を分けて確認する
- こんな方へ
- お知らせメールやメルマガの送信を担当していて、「届かない」と連絡を受けたときに、何から確かめ、再送するか、誰に何を頼むかが決まっていない小さな会社・店舗の担当者
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この記事の結論
メルマガが届かないと言われたときは、再送や設定の変更より先に、「届かない」を対象登録・配信受付・受信サーバーの応答・受信箱・記事への移動・有効な相談の6つの段に分け、配信の記録・受付の記録・本人の確認で止まった段を決めます。受信サーバーの応答は受け取り・保留・拒否を分け、保留は最終の結果を待ち、拒否は原文を残して原因を分けます。記録が足りないときは判断を止め、原因が分からないまま全員に再送しません。配信停止の依頼は届かないという問い合わせと分けて先に処理し、変えたことは7日後に反映を確かめ、28日後に続ける・戻す・保留を判断します。
この記事で確認できること
- 「届かない」を6つの段に分ける考え方と、再送の前に集める5つの記録、記録から止まった段を決める判定表
- 受け取り・保留・拒否の区別、Gmail宛ての送信者の要件で管理者と確かめること、開封の数字を判断に使わない理由
- 記録が足りないときの判断の止め方、再送しない条件、配信停止との区別、担当と期限、7日後と28日後の見直し、登録不要の20項目の点検表と記録票の記入例
結論:「届かない」を6つの段に分け、記録で止まった段を決めてから動く
「メルマガが届かない」と言われたとき、最初にすべきことは再送でも設定の変更でもありません。そのメールが、どの段まで進んで、どこで止まったのかを、配信の記録で確かめることです。
ひとことで「届かない」と言っても、中身は大きく違います。そもそも配信の対象に入っていなかった。配信の処理はされたが、受け取る側のサーバーに保留された。受け取りを拒否された。受け取られたが、受信トレイ以外の場所に入った。読まれたが、記事や相談まで進まなかった。どれに当たるかで、確かめる相手も、次にすることも変わります。
この記事では、送った側の担当者が、問い合わせを受けてから原因の段を決め、再送するかどうかを判断し、7日後と28日後に見直すまでの手順をまとめます。結論を先にまとめると、次の4つです。
- 「届かない」を、対象登録・配信受付・受信サーバーの応答・受信箱・記事への移動・有効な相談の6つの段に分けて考える
- 段を決める根拠は、記憶や印象ではなく、配信の記録・受付の記録・本人の確認の3つにする。記録が足りないときは判断を止め、足りない記録を取りに行く
- 受信サーバーの応答は「受け取った」「一時的に保留された」「拒否された」を分け、拒否された状態や原因が分からない状態で全員に再送しない
- 配信停止の依頼と「届かない」という問い合わせは、別の記録として扱い、担当と期限を決める
この記事が向いている方
主な読者として考えているのは、小さな会社や店舗で、お知らせメールやメルマガ(ニュースレター)の送信を担当している方です。配信サービスの管理画面は開けるものの、届かないと言われたときに何から確かめればよいか、誰に何を頼めばよいかが決まっていない、という状況を想定しています。
受け取る側の方が、特定の会社やお店のメルマガが届かない理由を調べている場合や、スマートフォンの機種・携帯会社ごとの受信設定を知りたい場合は、この記事の対象外です。その場合は、送っている会社やお店、お使いのメールサービスの案内を確かめてください。
この記事で扱わないこと
送信ドメインの認証(SPF・DKIM・DMARC)の具体的な設定方法、DNSに書き込む値、配信サービスごとの操作手順は扱いません。これらは、ドメインやDNSを管理している担当者、配信サービスの提供元が確かめる範囲です。この記事では、送信担当として「何を確かめ、何を誰に渡すか」に絞ります。
広告や宣伝のメールに関わる法律の解説もしていません。配信の同意の取り方や表示の義務を確かめる必要がある場合は、法令や所管の公的機関の案内を確かめてください。
先にお伝えしておくこと
この記事の6つの段の分け方、判定の順番、記録票、20項目の点検表、担当と期限の決め方、7日後と28日後の見直しは、Akatsuki編集部の実務の提案です。特定の会社で効果を測った結果ではなく、この手順で到達率や開封率が上がることを約束するものではありません。文中の会社や数字の例は、すべて説明のために作った架空の例です。
GoogleとAppleの公式の説明で確かめた内容には【公式情報】、編集部の考えや提案には【編集部の提案】と書き分けています。本文の「出典1」などの番号は、記事の下の一次情報の番号に対応しています。提供元の説明は更新されることがあるため、実際に判断するときは、その時点の公式の説明を確かめてください。
「届かない」を6つの段に分ける
【編集部の提案】メールが読者の手元に届き、相談につながるまでを、次の6つの段に分けて考えます。段ごとに、何が起きたかを確かめられる記録の場所が違います。
| 段 | 何が起きたか | 確かめる記録 | ここで止まったときの言い方 |
|---|---|---|---|
| 1. 対象登録 | 配信の対象リストに、そのアドレスが正しく入っていた | 配信リスト、登録の記録、停止・解除の記録 | 対象に入っていなかった |
| 2. 配信受付 | 配信サービスが、そのアドレス宛ての送信を処理した | 配信サービスの送信の記録・配信予約の記録 | 送信の処理がされていなかった |
| 3. 受信サーバーの応答 | 受け取る側のサーバーが、受け取った・保留した・拒否した | 配信サービスのエラーや返送の記録 | 保留された/拒否された |
| 4. 受信箱 | 受信トレイ・迷惑メール・その他の場所のどこに入ったか | 受け取った本人の確認 | 受信トレイ以外の場所に入っていた |
| 5. 記事への移動 | メールのリンクから記事やページへ移動した | 計測用パラメーター付きのリンクとアクセス解析 | 読まれたかもしれないが、移動していない |
| 6. 有効な相談 | 担当者が有効な新規相談と確認した | 受付の記録、問い合わせの管理表と担当者の判定 | 移動したが、有効な新規相談に至っていない |
送った側の記録で分かる範囲には、限りがある
この分け方で大切なのは、送った側の記録で確かめられる範囲に限りがあることです。1から3の段は、配信リストや配信サービスの記録で確かめられる場合があります。一方、4の段、つまり受け取られたメールが受信トレイに入ったのか、迷惑メールのフォルダに入ったのかは、送った側の記録だけでは分からないことがあります。そのため、4の段は受け取った本人に確かめてもらう前提で考えます。
5と6の段は、メールの配信とは別の記録で確かめます。メールのリンクに計測用のパラメーターを付けているか、受付で問い合わせのきっかけを記録しているかによって、確かめられる範囲が変わります。
「送った」「受け取られた」「読まれた」「相談になった」は別のこと
【編集部の提案】送信の処理が終わったことは、読者が受け取ったことを意味しません。受信サーバーが受け取ったことも、受信トレイに入ったことを意味しません。開封の数字が出ていても、それが本人の閲覧を正確に表しているとは限りません(理由は後の章で説明します)。そして、記事に移動した人が全員、相談をするわけでもありません。
このため、「届かない」という言葉を報告や会議でそのまま使わず、「3の段で拒否された」「4の段で迷惑メールのフォルダに入っていた」のように、段と状態で書き分けます。言い方をそろえるだけで、誰が何を確かめるべきかが決まりやすくなります。
再送の前に、最初に集める5つの記録
「メルマガが届いていない」という連絡を受けたら、再送や設定の変更より先に、次の5つを集めます。【編集部の提案】連絡を受けた日のうちに、ここまでを済ませる目安にしています。
手順1:誰の、どのアドレスで、どの配信回かを書く
連絡をくれた人の名前やお客様番号、届いていないというメールアドレス、どの日のどの配信(件名や配信日)が届いていないかを書きます。「最近のメルマガが全部届かない」という連絡なら、最後に受け取れた配信がいつかも尋ねます。
ここで、アドレスを本人の言葉どおりに書き写すことが大切です。登録されているアドレスと、本人が思っているアドレスが違うことがあります。たとえば、以前の勤務先のアドレスで登録していた、家族のアドレスで登録していた、といった場合です。
手順2:配信リストで、登録と停止の状態を確かめる
配信リストで、そのアドレスが登録されているか、配信停止や解除の状態になっていないかを確かめます。似たアドレスが複数登録されていることもあるため、名前やお客様番号でも検索します。
登録されていなければ、1の段で止まっています。この場合、配信の不具合ではなく、登録の経路(申し込みのフォーム、店頭での受付、名刺の取り込みなど)を確かめる話になります。
手順3:配信サービスの記録で、そのアドレス宛ての結果を確かめる
配信サービスの管理画面で、その配信回の、そのアドレス宛ての結果を確かめます。画面の名前や表示の内容はサービスによって違います。送信済み、エラー、返送、保留といった状態や、受信サーバーから返ってきたメッセージが記録されているかどうかも、お使いのサービスの説明で確かめてください。
記録が見つかったら、画面の写しを撮るか、表示された文字をそのまま書き写します。特に、エラーの番号や英語のメッセージは、自分で要約せずに原文のまま残します。後で管理者や配信サービスに確認するとき、原文が判断の材料になるためです。
手順4:同じ配信回の、ほかの宛先の結果を見る
その人だけの問題か、同じ受信サービスの宛先全体の問題かを分けるため、同じ配信回で、同じ受信サービスの宛先(たとえば、アドレスの「@」の後ろが同じもの)に、エラーや保留がまとまって出ていないかを見ます。
1件だけなら、そのアドレスに固有の問題である可能性を先に考えます。同じ受信サービスの宛先にまとまってエラーが出ているなら、送信側の設定や評価に関わる問題の可能性を考えます。どちらの場合も、この時点ではまだ原因を決めつけず、「可能性」として記録票に書いておきます。
手順5:本人に、受信箱の中を確かめてもらう
3の段で「受け取った」とされている場合や、配信サービスの記録で受信サーバーの応答まで確かめられない場合は、本人に、迷惑メールのフォルダやその他のフォルダ、受信トレイの別のタブ、メールの振り分けのルールなどを確かめてもらいます。送信元のアドレスや件名で検索してもらうと見つかることがあります。
本人にお願いするときは、確かめてほしい場所と、送信元のアドレス・件名・配信日を具体的に伝えます。「迷惑メールに入っていませんか」とだけ聞くより、どのメールを探せばよいかが伝わり、本人の手間が減ります。
| 記録 | 中身 | どこから取るか |
|---|---|---|
| 連絡の内容 | 誰から、どのアドレス、どの配信回、最後に受け取れた日 | 連絡を受けた人のメモ、問い合わせの記録 |
| 登録の状態 | 登録の有無、配信停止・解除の状態、似たアドレス | 配信リスト |
| 送信の結果 | そのアドレス宛ての状態、受信サーバーからのメッセージの原文 | 配信サービスの記録 |
| 同じ配信回の傾向 | 同じ受信サービスの宛先にエラーや保留がまとまって出ているか | 配信サービスの記録 |
| 本人の確認 | 迷惑メール・その他のフォルダ・振り分けで見つかったか | 本人への確認 |
原因の段を、記録から決める
集めた記録を、次の表に当てはめて、止まった段を決めます。【編集部の提案】表の右の「この段階ではしないこと」も一緒に見てください。早まった対応で、かえって状況が分かりにくくなることを防ぐためです。
| 記録の状態 | 止まった段 | 次に確かめること | この段階ではしないこと |
|---|---|---|---|
| リストにアドレスがない、または別のアドレスで登録 | 1. 対象登録 | 登録の経路と、本人が使いたいアドレス | 本人の確認なしにアドレスを追加する |
| 配信停止・解除の状態になっている | 1. 対象登録 | いつ、どの経路で停止されたか | 本人の確認なしに停止を戻す |
| その配信回の送信の記録がない | 2. 配信受付 | 配信の対象の条件、予約の設定 | 原因が分かる前に全員へ再送する |
| 一時的なエラーや保留の記録がある | 3. 受信サーバーの応答(保留) | 配信サービスが後で再び送るか、最終の結果 | 結果が出る前に手動で重ねて送る |
| 拒否や返送の記録がある | 3. 受信サーバーの応答(拒否) | エラーのメッセージの原文が何を示すか | 同じアドレスへ同じ条件で再送する |
| 受け取られたが、本人が受信トレイで見つけられない | 4. 受信箱 | 迷惑メール・その他のフォルダ・振り分け | 受け取られた事実を「届いていない」と報告する |
| 本人が受信箱で見つけたが、リンクの先の記録がない | 5. 記事への移動 | リンクの計測の設定、メールの内容と記事の対応 | 配信の不具合として扱う |
| 記事への移動はあるが、相談がない | 6. 有効な相談 | 記事やページから相談までの導線 | 配信の設定を変える |
| どの記録も取れない、または記録が食い違う | 判断しない | 足りない記録を取りに行く | 推測で原因を決める |
1人からの連絡か、複数からの連絡か
1人からの連絡で、その人のアドレスだけにエラーがあるなら、そのアドレスの問題として扱います。複数の人から同じ時期に連絡があり、同じ受信サービスの宛先にエラーや保留がまとまって出ているなら、送信側の設定や、受け取る側のサービスの受け取り方に関わる問題を疑います。
ただし、連絡の数は、問題の大きさをそのまま表しません。届いていないことに気づいた人の全員が連絡をくれるとは限らないためです。【編集部の提案】連絡が1件でも、手順4で同じ配信回の傾向を見てから、個別の問題か全体の問題かを判断します。
「いつから」を決めてから、原因を探す
全体の問題が疑われるときは、最後に問題なく届いていた配信回と、問題が起きた最初の配信回を特定します。その間に変えたこと、たとえば、配信サービスの変更、送信元のアドレスやドメインの変更、配信の量や頻度の変更、メールの内容の大きな変更がなかったかを書き出します。
変えたことが見つかっても、それが原因だと決めつけず、管理者や配信サービスに確かめる材料として渡します。
保留と拒否を区別する
3の段、受信サーバーの応答で止まっている場合は、「一時的に保留された」のか「拒否された」のかを区別します。次にすることが大きく違うためです。
Gmailの説明にある、一時的な拒否と永続的な拒否
【公式情報】Gmailのよくある質問は、要件を満たさないメールに一時的・永続的な拒否などの措置があり得るとしています(出典2)。
【公式情報】Gmailの「SMTPに関するエラーとコード」の一覧では、421・450・451などの一部に一時的なエラーと説明されたものがあります。また、550 5.1.1には送信しようとしたアカウントが存在しないという説明があり、550 5.7.26には認証に関わる拒否の説明が複数並んでいます(出典3)。どの理由かは、エラーの原文で確かめます。
ここで覚えておきたいのは、上の例はGmailの一覧に載っているものだということです。ほかのメールサービスに送った場合のエラーの番号やメッセージは、そのサービスの説明で確かめる必要があります。番号だけで判断せず、メッセージの原文とあわせて確かめます。
保留されたときは、最終の結果を待つ
一時的に保留された場合に、配信サービスが時間をおいて自動で再び送るかどうか、送るなら何回、どのくらいの間隔かは、お使いのサービスの説明で確かめてください。
【編集部の提案】保留の記録を見つけたら、すぐに手動で送り直さず、最終の結果が記録されるまで待ちます。結果が出る前に手動で重ねて送ると、同じ内容のメールが何通も届くおそれがあります。最終の結果が「受け取った」になれば4の段へ、「拒否」になれば次の節へ進みます。いつまで待っても最終の結果が記録されない場合は、配信サービスに、そのアドレス宛ての結果を問い合わせます。
拒否されたときは、原文から原因を分ける
拒否された場合は、エラーのメッセージの原文を残し、何を理由に拒否されたかを確かめます。【編集部の提案】原文を読んで、おおむね次のどれに近いかを分けます。
- アドレスそのものの問題:アカウントが存在しない、無効になっている、受信の容量がいっぱいになっている、など
- 送信元の認証や設定の問題:送信者が未認証、認証の結果と送信元の表示が合っていない、など
- 送信の量や評価の問題:短い時間に送る量が多い、迷惑メールとしての報告が多い、など
アドレスそのものの問題なら、本人に正しいアドレスを確かめてもらいます。認証や設定、量や評価の問題なら、送信担当だけで解決しようとせず、ドメインやDNSの管理者、配信サービスの提供元に、原文と一緒に確認を依頼します。分け方に迷う原文は、迷ったまま管理者に渡します。送信担当が推測で分類を決める必要はありません。
何度も返ってくるアドレスの扱い
【編集部の提案】同じ理由で拒否が続くアドレスに送り続けても、そのアドレスには届きません。存在しないアドレスなど、同じ理由で拒否が続くアドレスは、配信の対象から外すか停止の状態にし、本人と別の方法で連絡が取れる場合は、正しいアドレスを確かめます。返送が続くアドレスを自動で外す設定や、その扱いが受信サービスの要件とどう関わるかは、管理者に公式の説明で確認してもらいます。外した日と理由は、記録票に残します。
Gmail宛てで確かめる、送信者の要件
宛先にGmailのアドレスが多い場合や、拒否のメッセージにGmailの送信者ガイドラインへの案内が含まれている場合は、自社の送り方がその要件に関わるかを、管理者と確かめます。ここでは、送信担当が確認を依頼するときに知っておきたい範囲だけをまとめます。要件の正確な内容は、出典の公式の説明で確かめてください。
対象は、個人のGmailアカウント宛てのメール
【公式情報】Googleの送信者ガイドラインは、個人用Gmail宛ての要件です(出典1)。よくある質問では、Google Workspaceアカウント宛てのメールには適用されないと説明しています(出典2)。
ほかのメールサービスの宛先で問題が出ている場合は、そのサービスの説明を確かめます。この要件が、ほかのサービスにも同じ形で当てはまるとは限りません。
求められていることの大まかな範囲
【公式情報】すべての送信者にSPFまたはDKIMの認証などが、送信量の多い送信者にはさらにDMARCやワンクリックでの登録解除などが求められています(出典1)。
【編集部の提案】送信担当がこれらの意味を細かく理解している必要はありません。大切なのは、「自社の配信が、どの要件の対象になるか」と「満たしているかを誰が確かめるか」を決めておくことです。
「送信量が多い」の境界を、件数ちょうどで判断しない
【公式情報】Gmailのよくある質問は、24時間以内に5,000件近く以上を送るユーザーとし、同じプライマリドメインからの送信をまとめて数え、一度満たすと恒常的に一括送信者とみなすと説明しています(出典2)。
【編集部の提案】送信担当が件数の境界を自分で判断する必要はありません。宛先のGmailアドレスが多い、同じドメインから複数の種類のメールを送っている、送信量が増えてきた、という場合は、自社の配信がどの要件の対象になるかを、管理者や配信サービスに公式の説明で確認してもらいます。
要件を満たしても、受信トレイに届くとは限らない
【公式情報】ガイドラインは、迷惑メールフィルタの通過を保証しないとも書いています(出典1)。
【編集部の提案】設定が済んでいることは、届かない原因を外すための確認の一つです。設定が済んでいても届かないという連絡があれば、これまでの章と同じように、記録で段を確かめます。
送信担当が管理者に渡すもの
【編集部の提案】認証やDNSの設定は、送信担当が自分で書き換えるものではありません。送信担当は、次のものをそろえて、ドメインやDNSの管理者、配信サービスの提供元に確認を依頼します。
- 問題が出た配信回の日時と、送信元のアドレス(From:に表示されるアドレス)
- 配信に使っているサービスの名前と、そのサービスから送っている送信元のドメイン
- 拒否や保留のメッセージの原文と、その宛先の受信サービス(Gmailなど)
- 同じ配信回で、同じ受信サービスの宛先にエラーがまとまって出ているか
- 最後に問題なく届いていた配信回と、その後に変えたこと
依頼するときは、「届かないので直してください」ではなく、「この配信回のGmail宛てで、この原文の拒否が出ています。送信者ガイドラインの要件を満たしているかを確かめてください」のように、確かめてほしいことを具体的に書きます。管理者が設定を変えた場合は、変えた日と内容を記録票に書いてもらいます。
開封の数字と迷惑メールを、読み違えない
「届かない」の相談では、開封の数字を根拠に話が進むことがあります。「開封率が下がったから、届かなくなっているのではないか」という見方です。しかし、開封の数字だけで、届いたかどうかや、読者の関心を判断することはできません。
iPhoneのメールプライバシー保護と開封の数字
【公式情報】Appleの説明では、iPhoneのメールプライバシー保護をオンにすると、送ったメールが開かれたかどうかを送信者が確認できなくなります。リンクや添付ファイルには適用されないとも注記されています(出典4)。
【編集部の提案】このように、開かれたかどうかを送信者が確認できない仕組みがあるため、開封の数字は、読者の実際の行動をそのまま表したものとして扱いません。開封の数字が増えても減っても、それだけで「届いた」「届かなくなった」「関心が高い」「関心が下がった」と判断せず、3の段の記録(受け取り・保留・拒否)と、5の段の記録(リンクからの移動)と並べて読みます。
開封の数字で判断しないこと
【編集部の提案】開封の数字について、次のような判断は避けます。
- 開封の数字が0の人を、届いていない人と決める
- 開封の数字が下がったことを、迷惑メールのフォルダに入ったことの証拠にする
- 開封の数字が高い人を、相談の見込みが高い人として扱う
- 開封の数字の変化だけを見て、件名や送信時刻を何度も変える
開封の数字は、同じ条件で配信した回どうしの、おおまかな変化を見る参考の一つにとどめます。
迷惑メールのフォルダに入ったかは、本人にしか分からないことがある
4の段で、受信トレイではなく迷惑メールのフォルダに入ったかどうかは、送った側の記録だけでは分からないことがあります。
【編集部の提案】送信元のドメイン全体の傾向を確かめられる仕組みがあるかは、管理者に公式の説明で確認してもらいます。一人ひとりの受信箱の中は、本人に確かめてもらう前提で、記録票の「本人の確認」の欄を埋めます。
個人の情報を、計測や共有に入れない
【編集部の提案】届かない人の調査では、メールアドレスや名前、開封の記録などの個人の情報を扱います。これらを、アクセス解析の設定、記事のURL、社外に共有する資料、報告のスライドに入れないようにします。記録票は社内の限られた担当者だけが見られる場所に置き、社外の管理者や配信サービスに渡すときは、確認に必要な範囲に絞ります。メールのリンクに付ける計測用のパラメーターも、配信回やリンクの位置を表す値にとどめ、個人を特定できる値は入れません。
記録が足りないときは、判断を止める
【編集部の提案】記録が足りないまま原因を決めると、間違った対応をして、本当の原因が見えにくくなります。次のどれかに当てはまるときは、原因の判断を止め、足りない記録を取りに行きます。
| 判断を止める条件 | 取りに行く記録 | 誰が取るか |
|---|---|---|
| 届いていないというアドレスが、本人の言葉で確かめられていない | 本人が使っているアドレス | 連絡を受けた担当 |
| どの配信回が届いていないかが分からない | 件名や配信日、最後に受け取れた日 | 連絡を受けた担当 |
| 配信サービスの記録に、そのアドレス宛ての結果が見当たらない | 配信サービスへの、そのアドレス宛ての結果の問い合わせ | 送信担当 |
| エラーのメッセージが要約しか残っていない | メッセージの原文 | 送信担当 |
| 本人に受信箱を確かめてもらえていない | 迷惑メール・その他のフォルダ・振り分けの確認の結果 | 連絡を受けた担当 |
| いつから届いていないかが分からない | 最後に問題なく届いていた配信回 | 送信担当 |
| 配信の設定やドメインを変えた日が分からない | 変更の記録、管理者への確認 | 送信担当・管理者 |
判断を止めている間に、してよいこと
判断を止めている間も、何もしないわけではありません。本人には、確認中であることと、次に連絡する日を伝えます。急ぎの案内(予約の確認や、日程の変更など)が届いていない可能性があるなら、電話や別の連絡手段で、その内容だけを個別に伝えます。
ただし、原因が分からないまま、配信の設定を変えたり、全員に再送したりはしません。判断を止めることは、間違った対応をしないための手順です。
「分からない」と書くことも記録
【編集部の提案】記録票の「止まった段」の欄には、判断を止めたときは「判断しない(記録不足)」と書き、何が足りないかを書き添えます。分からないことを分からないと書いておくと、後で別の担当が引き継いだときに、同じ確認を最初からやり直さずに済みます。
再送しない条件と、再送してよい条件
「届いていない人がいるなら、もう一度全員に送ればよい」と考えたくなることがあります。しかし、原因が分からないまま全員に再送すると、届いている人には同じメールが二重に届きます。拒否の原因が認証や評価の問題なら、再送しても同じように拒否される可能性があります。
再送しない条件
【編集部の提案】次のどれかに当てはまるときは、再送しません。
- 原因の段が決まっていない、または記録が足りない
- 拒否の原因が、認証・設定・送信の量や評価に関わる可能性があり、管理者の確認が済んでいない
- そのアドレスが、配信停止・解除の状態になっている
- アカウントが存在しないなど、アドレスそのものの問題で拒否されている
- 保留の最終の結果がまだ出ていない
- 本人が受信箱で見つけられた(届いていた)
- 届いていない人を特定できず、全員に送るしか方法がない
最後の条件が大切です。【編集部の提案】全員への再送は、原則として行いません。届いていない人が特定できない状態で全員に送ると、届いている人に重複したメールが届き、迷惑メールとして報告されるきっかけになるおそれもあります。
再送してよい条件
【編集部の提案】次の条件がそろっているときは、対象を絞って再送を検討します。
- 原因の段が記録で決まっていて、その原因が解消されたことを確かめた
- 再送する相手が、届いていないことを記録で特定できた人に限られている
- 再送する相手が、配信停止・解除の状態ではない
- 再送することを、責任者が判断した
たとえば、登録のアドレスの誤りを本人と一緒に直した場合は、直したアドレスに、その人の分だけを送ります。急ぎの内容なら、メールの再送より、電話や個別の連絡の方が確実な場合もあります。
再送したら、記録に残す
再送した場合は、誰に、いつ、どの配信回の内容を、どの方法で送ったかを記録票に残します。同じ人に何度も送ってしまうことを防ぎ、7日後と28日後の見直しの材料にもなります。
届かないという問い合わせと、配信停止の依頼を混同しない
メールに関する連絡には、「届かない」という問い合わせと、「もう送らないでほしい」という配信停止の依頼が混ざることがあります。この2つを同じ記録で扱うと、停止を依頼した人に、届かないと勘違いして再送してしまうおそれがあります。
2つは、目的も期限も違う
「届かない」という問い合わせは、受け取りたい人からの連絡です。一方、配信停止の依頼は、受け取りたくない人からの連絡です。目的が逆なので、記録の場所を分け、担当と期限も分けます。
【公式情報】Gmailのよくある質問では、登録解除のリクエストには48時間以内に対応することがすすめられています(出典2)。
【編集部の提案】これはGoogleが個人のGmailアカウントに送る送信者向けに示している推奨です。ほかのメールサービスや法令上の扱いをこの記事で説明するものではありませんが、配信停止の依頼は、届かないという問い合わせよりも先に処理する前提で、期限を決めておくことをおすすめします。
連絡の中身が分かりにくいとき
「メールの件で」とだけ書かれた連絡や、「もう届かなくていい」「最近届かないけど、もういい」のように、どちらとも読める連絡もあります。【編集部の提案】どちらか分からないときは、推測で処理せず、本人に「配信を止めてよいか」「届くようにしてほしいか」を確かめます。確かめている間は、その人への再送はしません。
停止されている人からの「届かない」
配信停止の状態になっている人から「届かない」と連絡があった場合は、停止の記録(いつ、どの経路で停止されたか)を本人に伝え、本人がもう一度受け取りたいと明確に希望した場合だけ、登録の手続きをしてもらいます。【編集部の提案】送信担当が、本人の確認なしに停止の状態を戻すことはしません。
担当と期限を決める
届かないという連絡は、受付・送信・管理・判断の担当がそれぞれ違うことが多く、誰かが止まると全体が止まります。【編集部の提案】次のように役割と期限を決めておきます。小さな会社では、1人が複数の役割を兼ねても構いません。その場合も、役割ごとの期限は分けて書きます。
| 役割 | すること | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 連絡を受けた担当 | 連絡の内容を書き、本人に受信箱の確認と次の連絡日を伝える | 連絡を受けた日のうち |
| 送信担当 | 配信リストと配信サービスの記録を確かめ、止まった段を記録票に書く | 翌営業日まで |
| 配信停止の担当 | 配信停止の依頼を、届かないという問い合わせと分けて処理する | 依頼を受けてから48時間以内を目安 |
| ドメイン・DNSの管理者 | 認証や設定に関わる確認を行い、変えた場合は日付と内容を記録する | 依頼を受けてから決めた日まで |
| 配信サービスの窓口 | 記録で分からない結果を、提供元に問い合わせる | 送信担当が判断を止めた日のうちに問い合わせる |
| 責任者 | 再送するか、対象をどう絞るか、管理者への依頼を判断する | 記録票がそろった日のうち |
期限を過ぎたときの扱い
期限までに確認が終わらないこともあります。【編集部の提案】そのときは、終わっていない確認と、次の期限を記録票に書き、本人にも次の連絡日を伝えます。期限を過ぎたことを理由に、確認を飛ばして再送や設定の変更に進むことはしません。
本人への連絡を、決まった文で返す
本人への連絡は、担当によって内容がばらつかないよう、あらかじめ文の骨組みを決めておくと便利です。たとえば、「ご連絡ありがとうございます。○月○日の『件名』のメールについて、配信の記録を確認しています。お手数ですが、迷惑メールのフォルダなどに『送信元のアドレス』からのメールがないかをご確認ください。○月○日までに、確認の結果をご連絡します」のように、確認していること、本人にお願いすること、次の連絡日の3つを入れます。
次に確かめることを、一緒に一つに絞りたいとき
Akatsukiのマーケティング相談では、広告・ホームページ・Googleマップ・SNS・AI活用の悩みを伺い、止まっている場所、次に試すことと理由、確かめる数字を一緒に整理します。
架空の3つの業態で見る、点検の使い方
ここからは、説明のために作った架空の3つの例で、点検の流れを確かめます。会社名・数字・メッセージの内容は、すべて架空のものです。業種の平均や目安を示すものではありません。
架空の例A:見学会の案内が、Gmailの宛先にまとまって届かない工務店
地域の工務店が、毎月、完成見学会の案内をメールで送っています。ある月、3人のお客様から「今月の案内が来ていない」と連絡がありました。3人とも、アドレスの末尾は@gmail.comでした。
送信担当が配信サービスの記録を見ると、その配信回では、Gmailの宛先の多くにエラーが記録されていました。メッセージの原文には「550 5.7.26」の番号と、認証に関わる英語の説明が含まれていました。一方、ほかのメールサービスの宛先には、エラーはほとんど記録されていませんでした。
| 確かめたこと | 記録の内容(架空) | 判断 |
|---|---|---|
| 登録の状態 | 3人とも登録済み、停止なし | 1の段ではない |
| 送信の結果 | Gmailの宛先の多くでエラー | 3の段(拒否) |
| メッセージの原文 | 550 5.7.26、認証に関わる説明 | 認証や設定の問題の可能性 |
| 最近変えたこと | 先月、配信サービスを乗り換えた | 管理者に確認を依頼する材料 |
| 再送 | しない | 管理者の確認が済んでいないため |
この工務店では、送信担当が原文と配信日、新しい配信サービスの名前を、ドメインの管理を頼んでいる制作会社に渡し、新しい配信サービスから送るメールの認証の設定を確かめてもらうことにしました。見学会の日が近かったため、連絡をくれた3人には、電話で日程を伝えました。全員への再送はしていません。
架空の例B:保護者の1人にだけ、お知らせが届かない学習塾
個別指導の学習塾が、保護者向けに授業の予定やお知らせをメールで送っています。ある保護者から「最近、塾からのメールが一通も届かない」と連絡がありました。
配信の記録を見ると、その保護者のアドレス宛てには、ここ数回、「550 5.1.1」の番号と、メールアカウントが存在しないという説明のエラーが記録されていました。同じ配信回のほかの宛先には、エラーはありませんでした。保護者に確かめると、登録していたのは以前の勤務先のアドレスで、すでに使えなくなっていたことが分かりました。
| 確かめたこと | 記録の内容(架空) | 判断 |
|---|---|---|
| 登録の状態 | 以前の勤務先のアドレスで登録 | 登録のアドレスの問題 |
| 送信の結果 | そのアドレスだけでエラーが続いている | 3の段(拒否) |
| メッセージの原文 | 550 5.1.1、アカウントが存在しないという説明 | アドレスそのものの問題 |
| 同じ配信回の傾向 | ほかの宛先にエラーなし | 全体の問題ではない |
| 再送 | 新しいアドレスへ、その保護者の分だけ | 原因が解消し、対象が特定できたため |
学習塾は、保護者に新しいアドレスを本人の手で登録してもらい、古いアドレスを停止の状態にしました。届いていなかった間の授業の予定は、教室で直接伝え、必要なお知らせだけを新しいアドレスに送りました。
架空の例C:配信の記録では受け取られているのに、本人が見つけられない料理教室
小さな料理教室が、新しい講座の案内をメールで送っています。ある生徒から「新しい講座の案内が届いていない」と連絡がありました。
配信の記録では、その生徒のアドレス宛てに、エラーは記録されていませんでした。開封の数字は0でしたが、生徒はiPhoneでメールを読んでいると話していました。担当は、開封の数字だけで届いていないと決めず、生徒に、送信元のアドレスと件名を伝えて、迷惑メールのフォルダとその他のフォルダを探してもらいました。すると、迷惑メールのフォルダに入っていたことが分かりました。
| 確かめたこと | 記録の内容(架空) | 判断 |
|---|---|---|
| 登録の状態 | 登録済み、停止なし | 1の段ではない |
| 送信の結果 | エラーの記録なし | 3の段で止まった記録はない |
| 開封の数字 | 0 | 開封の数字だけでは判断しない |
| 本人の確認 | 迷惑メールのフォルダで見つかった | 4の段(受信箱) |
| 再送 | しない | 届いていたため |
この教室では、ほかにも同じような連絡が続くかを見るため、記録票に「4の段・迷惑メールのフォルダ」と書き、次の配信回で同じ連絡が増えるかを確かめることにしました。同じ連絡が続く場合は、送信元の設定や送り方を管理者と確かめる予定です。
3つの例に共通すること
3つの例では、止まった段がそれぞれ違いました。例Aは3の段の拒否で、認証や設定の問題の可能性がありました。例Bは3の段の拒否でしたが、原因はアドレスそのものでした。例Cは4の段で、届いてはいたものの、受信トレイ以外の場所に入っていました。
どの例でも、全員への再送はしていません。記録で段を決め、原因に合わせて、管理者への依頼、アドレスの修正、本人の確認のどれかを選んでいます。急ぎの内容は、メールの再送ではなく、電話や対面などの別の方法で伝えています。
7日後と28日後の見直し
原因に合わせて何かを変えたら、変えたことの結果を、時間をおいて見直します。【編集部の提案】7日後に「変えたことが反映されているか」を確かめ、28日後に「続ける・戻す・保留」を判断します。7日と28日という区切りは編集部の提案で、配信の頻度が週に1回より少ない場合は、次の配信回の後に合わせてずらします。
7日後:変えたことが反映されているかを確かめる
7日後には、判断ではなく、反映の確認をします。たとえば、次のことを確かめます。
- 管理者が設定を変えた場合、その後の配信回で、同じ受信サービスの宛先に、同じ原文のエラーがまだ出ているか
- アドレスを直した場合、直したアドレス宛ての結果が「エラーなし」になっているか
- 連絡をくれた人に、その後の配信回が届いているか(本人に確かめる)
- 同じ内容の「届かない」という連絡が、新たに来ているか
この時点で同じエラーが続いているなら、変えたことが反映されていないか、別の原因がある可能性があります。管理者にもう一度、原文を渡して確認を依頼します。
28日後:続ける・戻す・保留を判断する
28日後には、7日後からの記録を並べて判断します。
| 28日間の記録 | 判断 | 次にすること |
|---|---|---|
| 同じ原文のエラーが出なくなり、同じ連絡も来ていない | 続ける | 変えた内容を手順書や設定の記録に残す |
| 変えた後に、別のエラーや別の問題が増えた | 戻すかを管理者と相談する | 戻す場合は、戻した日と内容を記録する |
| 配信の回数が少なく、比べられる記録が足りない | 保留 | 次の配信回の後に、もう一度見直す日を決める |
| エラーは減ったが、記事への移動や相談が増えていない | 配信の問題は続けて見守り、別の段を確かめる | 5の段・6の段の記録を確かめる |
見直しで比べるときの条件
【編集部の提案】変える前と後を比べるときは、同じ受信サービスの宛先どうし、同じくらいの送信量の配信回どうしで比べます。配信の内容や送信量が大きく違う回を比べても、変えたことの結果とは言えません。また、Gmail宛ての迷惑メール率など送信元全体の数字を見る場合は、管理者と一緒に、どの期間を比べるかを先に決めてから見ます。
見直しの後も、メールの先を確かめる
配信の問題が落ち着いても、記事への移動や相談が増えるとは限りません。メールで案内した記事やページから、相談まで進んでいるかは、5の段と6の段の記録で確かめます。詳しくは後の「メールの先」の章で説明します。
登録なしで使える20項目の点検表
次の20項目は、届かないという連絡を受けたときと、毎月の配信の前後に使える点検表です。【編集部の提案】登録や申し込みは必要ありません。この表を書き写すか、社内の共有の表に貼り付けて使ってください。
| 番号 | 確認すること | 確かめ方 | 当てはまらないときの対応 |
|---|---|---|---|
| 1 | 連絡をくれた人と、届いていないアドレスを本人の言葉で書いた | 記録票の連絡の欄を見る | 本人にアドレスを確かめる |
| 2 | 届いていない配信回(件名・配信日)を特定した | 本人に最後に受け取れた日を聞く | 特定できるまで判断を止める |
| 3 | 配信リストで、登録の有無と停止・解除の状態を確かめた | 名前・番号・似たアドレスでも検索する | 1の段として登録の経路を確かめる |
| 4 | その配信回の、そのアドレス宛ての結果を確かめた | 配信サービスの記録を見る | 見当たらなければ配信サービスに問い合わせる |
| 5 | エラーや保留のメッセージを原文のまま残した | 画面の写しか書き写しがある | 要約しか残っていなければ原文を取り直す |
| 6 | 受け取り・保留・拒否のどれかを決めた | 原文と結果の表示を見比べる | 決められなければ判断を止める |
| 7 | 同じ配信回の、同じ受信サービスの宛先の傾向を見た | エラーがまとまって出ていないかを見る | 傾向が分かるまで全体の問題と決めない |
| 8 | 最後に問題なく届いていた配信回を特定した | 配信の記録を順にさかのぼる | 分からなければ、いつからを決めてから探す |
| 9 | その後に変えたこと(配信サービス・送信元・量・内容)を書き出した | 変更の記録や担当者に確かめる | 管理者に変更の有無を確かめる |
| 10 | 受け取られた場合、本人に受信箱の中を確かめてもらった | 送信元・件名・配信日を伝えて探してもらう | 確認の結果が出るまで再送しない |
| 11 | 開封の数字だけで、届いた・届かないを判断していない | 判断の根拠の欄を見る | 3の段と5の段の記録を並べる |
| 12 | 保留の最終の結果が出るまで、手動で重ねて送っていない | 再送の記録を見る | 最終の結果を待つ |
| 13 | 拒否の原因が認証や設定に関わる場合、管理者に原文を渡した | 依頼の記録を見る | 原文・配信日・送信元を渡す |
| 14 | Gmail宛てが多い場合、送信者ガイドラインの要件を管理者と確かめた | 確認の記録を見る | 要件の一覧を管理者に渡す |
| 15 | 全員への再送をしていない | 再送の記録を見る | 対象を特定した人に絞る |
| 16 | 再送した場合、誰に・いつ・何を・どの方法で送ったかを残した | 記録票の再送の欄を見る | 送った内容を記録に足す |
| 17 | 配信停止の依頼を、届かないという問い合わせと分けて処理した | 記録の場所が分かれているか見る | 停止の依頼を先に処理する |
| 18 | 本人に、確認中であることと次の連絡日を伝えた | 連絡の記録を見る | 次の連絡日を決めて伝える |
| 19 | 7日後と28日後の見直しの日を決めた | 記録票の見直しの欄を見る | 次の配信回に合わせて日を決める |
| 20 | 記録票や点検表に、不要な個人の情報を書いていない | 社外に渡す範囲を見直す | 確認に必要な範囲に絞る |
点検表の使い方
【編集部の提案】連絡を受けたときは、1から10までを順に確かめます。11から16は、判断と再送の前に確かめます。17から20は、連絡の処理が一通り終わった後と、毎月の配信の前後に確かめます。
全部の項目が当てはまらなくても構いません。当てはまらなかった項目の「対応」の欄を、次にすることとして記録票に書き写します。
記録票の書き方と記入例
点検の結果は、1件の連絡につき1行の記録票にまとめます。【編集部の提案】次の列を用意します。
| 列 | 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 受付日 | 連絡を受けた日 | ○月○日 |
| 連絡の種類 | 届かない/配信停止/どちらか不明 | 届かない |
| 配信回 | 件名と配信日 | ○月の見学会のご案内(○月○日) |
| 宛先の受信サービス | アドレスの「@」の後ろ | gmail.com |
| 止まった段 | 1〜6の段、または判断しない | 3の段(拒否) |
| 根拠の記録 | 結果の表示、原文、本人の確認 | 配信の記録の原文 |
| 次の行動 | 管理者への依頼、アドレスの修正、本人の確認 | 管理者へ原文を渡す |
| 担当と期限 | 誰が、いつまでに | 送信担当、翌営業日まで |
| 再送 | しない/対象と日付と方法 | しない |
| 見直しの日 | 7日後と28日後 | ○月○日、○月○日 |
記入例(架空の例A)
次は、架空の例Aの工務店の記入例です。数字や日付は架空です。
| 列 | 記入例 |
|---|---|
| 受付日 | 10月2日 |
| 連絡の種類 | 届かない(3人から) |
| 配信回 | 10月の完成見学会のご案内(10月1日) |
| 宛先の受信サービス | 3人ともgmail.com |
| 止まった段 | 3の段(拒否) |
| 根拠の記録 | 配信の記録で、Gmailの宛先の多くに550 5.7.26。原文を画面の写しで保存 |
| 次の行動 | 制作会社に、原文・配信日・新しい配信サービスの名前を渡し、認証の設定の確認を依頼 |
| 担当と期限 | 送信担当が10月3日までに依頼。制作会社の回答は10月7日まで |
| 再送 | しない。3人には電話で見学会の日程を伝えた |
| 見直しの日 | 次の配信回の後(10月9日)と、28日後(10月30日) |
記録票を続けて使うと見えること
【編集部の提案】記録票を続けて使うと、どの段で止まることが多いか、どの受信サービスの宛先で問題が出やすいか、どの確認に時間がかかっているかが見えてきます。月に1回、記録票を見返して、同じ段で止まる連絡が続いていないかを確かめます。数字の並べ方や見返し方は、集客データの見方:数字を並べる前に決めておくことの、比べる条件をそろえる考え方が参考になります。
メールの先:記事への移動と相談までを確かめる
配信の問題が解決しても、それだけで相談が増えるとは限りません。メールで案内した記事やページを読んだ人が、相談まで進んでいるかは、5の段と6の段の記録で確かめます。
メールのリンクに、配信回と位置が分かる印を付ける
【編集部の提案】メールから記事やページへのリンクには、配信回とリンクの位置が分かる計測用のパラメーターを付けます。値には、配信回やリンクの位置だけを入れ、メールアドレスや名前など、個人を特定できる値は入れません。これで、アクセス解析で、どの配信回のどのリンクから移動したかを確かめられます。
アクセス解析の数字と、受付の件数を照合する
【編集部の提案】6の段は、フォームの送信が受け付けられたこと、相談が実際に受信されたこと、担当者が相談内容を確かめて有効な新規相談と判定したことの3つを分けて記録します。重複した送信、営業目的の送信、テストの送信は、有効な新規相談に含めません。担当者の判定がまだ取れていない期間は、0件ではなく「未取得」として扱います。
アクセス解析で相談のボタンや送信の数を見ている場合も、その数字が受付で実際に受け取った相談の件数と合っているとは限りません。数字の食い違いの確かめ方は、GA4の問い合わせコンバージョンが受付件数と合わないときに確かめる順番で扱っています。
記事やページから相談までの導線を確かめる
記事への移動はあるのに相談がない場合は、6の段、つまり記事やページから相談までの導線を確かめます。どこで止まっているかの切り分けは、ホームページから問い合わせが来ないとき、最初に切り分ける5つの原因と、改善の進め方をまとめた問い合わせを増やすWeb改善ガイドが参考になります。相談のフォームや受付の流れを一つずつ確かめるときは、問い合わせ導線チェックも使えます。
配信サービスや管理者に相談するときに渡すもの
送信担当だけで確かめられないことは、早めに配信サービスの提供元や、ドメイン・DNSの管理者、制作会社などに相談します。【編集部の提案】相談するときは、次のものをそろえて渡すと、確認が早く進みます。
- 記録票の該当する行(受付日、配信回、宛先の受信サービス、止まった段、根拠の記録)
- エラーや保留のメッセージの原文(画面の写しか、書き写したもの)
- 同じ配信回で、同じ受信サービスの宛先にエラーがまとまって出ているかどうか
- 最後に問題なく届いていた配信回と、その後に変えたこと
- 確かめてほしいこと(たとえば、送信元の認証の設定、送信の結果の詳細)
相談の相手に、届かない人のアドレスの一覧をすべて渡す必要はありません。確認に必要なアドレスや配信回に絞って渡します。
相談の結果を、記録票に戻す
相談の結果、管理者が設定を変えた、配信サービスが結果を教えてくれた、といった回答があれば、その日付と内容を記録票に書き戻します。7日後と28日後の見直しは、この日付を起点にします。
よくある質問
メルマガが届かない原因は何ですか
原因は一つではなく、配信の対象に入っていない、送信の処理がされていない、受け取る側のサーバーに保留・拒否された、受信トレイ以外の場所に入った、などの段に分かれます。送った側の担当者は、まず配信リストと配信サービスの記録で、どの段で止まったかを確かめます。受信箱の中は、本人に確かめてもらう必要があります。
届いていない人がいるなら、全員にもう一度送ってよいですか
原則として、全員への再送はおすすめしません。届いている人に同じメールが二重に届き、拒否の原因が解消されていなければ、再送しても同じように拒否される可能性があります。原因の段を記録で決め、届いていないことを特定できた人に絞って再送を検討します。
開封率が下がったのは、届かなくなったからですか
開封の数字だけでは判断できません。iPhoneのメールプライバシー保護のように、開かれたかどうかを送信者が確認できない仕組みがあるためです(出典4)。開封の数字は、配信の記録やリンクからの移動の記録と並べて読みます。
Gmailだけ届かないのは、なぜですか
同じ配信回で、Gmailの宛先にだけエラーがまとまって出ている場合は、送信元の認証や設定が、Gmail宛ての要件(「Gmail宛てで確かめる、送信者の要件」の章を参照)に関わっている可能性があります。エラーのメッセージの原文を残し、ドメインやDNSの管理者、配信サービスの提供元に確認を依頼します。原因の特定は、原文と設定を確かめてから行います。
送信する量が少なければ、認証の設定は要りませんか
量が少ないから設定が要らない、とは言えません。Gmail宛ての要件の範囲は「Gmail宛てで確かめる、送信者の要件」の章を参照し、自社の配信が満たしているかは、管理者に公式の説明で確かめてもらいます。
認証の設定が済んでいれば、必ず受信トレイに届きますか
必ず届くとは言えません(「Gmail宛てで確かめる、送信者の要件」の章を参照)。設定が済んでいても、届かないという連絡があれば、記録で段を確かめます。
配信停止したはずの人から「まだ届く」と言われました
届かないという問い合わせとは別に、配信停止の依頼として扱います。配信リストで停止の状態と、停止の手続きが反映された日を確かめ、反映されていなければ停止の処理を先に行います。
Google Workspaceのアドレス宛てにも、Gmailの送信者ガイドラインは当てはまりますか
対象の範囲は「Gmail宛てで確かめる、送信者の要件」の章を参照してください。宛先が会社のドメインのアドレスの場合は、受け取りの設定を社内のメールの管理者に確かめてもらうよう、本人にお願いします。
まとめ:記録で段を決めてから、一つずつ動く
メルマガが届かないと言われたときは、再送や設定の変更より先に、「届かない」を6つの段に分け、記録で止まった段を決めます。送った側の記録だけでは、受信箱の中までは分からないことがあります。受信箱の中は本人に確かめてもらい、開封の数字だけで届いた・届かないを判断しません。
受信サーバーの応答は、受け取り・保留・拒否を分けます。保留は最終の結果を待ち、拒否は原文から原因を分けて、認証や設定に関わる場合は管理者に原文を渡します。記録が足りないときは判断を止め、原因が分からないまま全員に再送しません。配信停止の依頼は、届かないという問い合わせと分けて、先に処理します。
役割と期限を決め、変えたことは7日後に反映を確かめ、28日後に続ける・戻す・保留を判断します。まずは、次に「届かない」と連絡を受けたときに、20項目の点検表の1から10を順に確かめ、記録票に1行書くところから始めてください。
今日やること
- 次に「届かない」と連絡を受けたときに備えて、記録票の列(受付日・連絡の種類・配信回・宛先の受信サービス・止まった段・根拠・次の行動・担当と期限・再送・見直しの日)を共有の表に作る
- 配信サービスの管理画面で、配信回ごと・宛先ごとの結果と、エラーのメッセージの原文をどこで見られるかを確かめておく
- 配信停止の依頼と届かないという問い合わせの記録の場所を分け、それぞれの担当と期限を決める
出典・編集方針
- この記事の6つの段の分け方、判定の表、判断を止める条件、再送しない条件と再送してよい条件、役割と期限の目安、7日後と28日後の見直しの区切り、20項目の点検表、記録票は、Akatsuki編集部の実務提案です。特定の会社で効果を測った結果ではなく、メールの到達や開封、相談の件数が増えることを約束するものではありません。
- 工務店・学習塾・料理教室の例、記録票の記入例、日付やエラーの記録の内容は、説明のために作った架空の例です。実在の会社の数字や事例ではなく、業種の平均的な数字や目安でもありません。
- 冒頭の写真風の画像は生成AIで作成したイメージで、実際のメール配信の画面・製品・成果を撮影したものではありません。本文中の図版3点は、Akatsuki編集部が文字と図形で作成した説明図です。
- 送信ドメインの認証の設定方法、DNSに書き込む値、配信サービスごとの操作、広告や宣伝のメールに関わる法令は扱っていません。本文の「出典1」などの番号は下の一次情報の番号に対応し、内容は確認日の時点のものです。提供元の説明は更新されることがあります。この記事は、実際の会社のメール配信の設定や到達を代行・検証したものではありません。
一次情報(外部サイト)
- 出典1:Gmail ヘルプ(メール送信者のガイドライン)(外部サイト)Gmail宛ての認証などの要件。更新日の記載なし、2026年10月6日確認
- 出典2:Gmail ヘルプ(メール送信者のガイドラインに関するよくある質問)(外部サイト)一括送信者の数え方、Google Workspace宛てへの適用外、拒否などの措置、登録解除の推奨期限。更新日の記載なし、2026年10月6日確認
- 出典3:Google Workspace ヘルプ(Gmail の SMTP に関するエラーとコード)(外部サイト)一時的なエラーの例、550 5.1.1(アカウントが存在しない)、550 5.7.26(認証関連の拒否例。原因はエラー原文で確認)。AI翻訳との表示あり。最終更新2026年10月1日(UTC)、2026年10月6日確認
- 出典4:Apple サポート(iPhoneでメールプライバシー保護を使用する、iOS 27)(外部サイト)送ったメールが開かれたかどうかを送信者が確認できなくなることなど。更新日の記載なし、2026年10月6日確認
記事の作り方と訂正の方針は編集方針にまとめています。
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